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Hirsch und Hinde -雄ジカと雌ジカ-
10世紀に上部ドイツ語(アレマン方言?)で写本の欄外に記された短い詩です。
この短い詩で完結したテキストであるのか、あるいは何か別の詩の一部であるのか、判明していません(Müller: 2013, S. 184)。
舞踏(雄ジカの踊り)の際に、相手への誘い文句であるとか、「愛のささやき」であるとかなどの見解があります。1 -
St. Galler Schreibervers - St. Gallenの写字生の詩
St. Galleの写字生が写本の終わりに残したアレマン方言の(脚韻1)詩です。写字生がラテン語でこういった苦労や喜びの一言を残す事はそこまで珍しい事ではありませんが、古高ドイツ語においては非常に珍しい書き残しでしょう。
850年頃あるいはそれより後に記されたと見積もられています (Klein: 2017, S. 94) 。 -
St. Galler Spottvers - St. Gallenの風刺詩
アレマン方言で9世紀頃に記述したとされる、当時の風刺詩(脚韻)です。余白を使った羽根ペンの試し書きと見られています (Steinmyer: 1916, S. 401; 高橋: 2003, S. 383) 。
Liubeneという男が彼の娘の婚姻のために白ビール(Weizenbier)を作り、そして娘を嫁がせますが、Starzfidereという彼女を娶った男が後に(おそらく娘が不妊1であったために (Stephan: 2007, S.386) )離別して、父へ娘を返してしまう内容です。 -
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Zürcher Hausbesegnung - チューリッヒの家の祝福
Alemannische HausbesegnungあるいはSt. Galler Haussegenとも呼ばれる(Nievergelt: 2013, S.534)アレマン方言で記された、家を悪魔に対して聖別を行なう為の祈祷文です。非常に簡潔なテキストですが、どの様に翻訳を行なうべきか、またchnospinciは何を意味するのか、現在まで研究に決着がついていません1。10世紀頃の成立とされています。
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De Leone – Aus dem älteren Physiologus
Abb.: Österreichische Nationalbibliothek. Wien. Cod. 223, 31r. -
Christus und die Samariterin - キリストとサマリアの女
ヨハネによる福音書4章4節-42節を朗読用に物語的に作られた作品であり、聖書的な注釈は含んでいません。10世紀にReichneauあたりで成立したとされ、南ラインフランク語とアレマン語が混ざったテキストとなっています。
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Petruslied - ペテロの歌
およそ9-10世紀に記された古バイエルン語の聖歌です。
3つの詩からなる脚韻詩であり、マタイによる福音書16章18-19節あたりの内容が元になっているとされています。